住宅取得資金の贈与 その壱 2017/11/08

 

『住宅取得資金に関する贈与税の特例』を、相続時精算課税制度を使わないで活用するポイントをまとめました。

 

【住宅取得資金に関する贈与税の特例とは】

自宅購入の際、その購入資金に充てる目的で両親や祖父母からお金をもらったときに、一定額まで贈与税が免除される制度です。

■例えば、父親から500万円をもらった場合、通常は約50万円の贈与税がかかりますが 、この特例の適用を受けると贈与税はかからなくなります。

 

 

【この特例はどの程度活用されている?】

一般社団法人 不動産流通経営協会が平成26年度中に首都圏で住宅を購入した世帯にアンケートをとり、約1千世帯から得た回答を基にまとめられた情報によると、住宅を購入した者のうち 11%の人がこの特例を活用しています。

 

 

【贈与を受ける金額はいくらまで贈与税がかからない?】

一般住宅と高機能住宅とで異なります。平成29年中にハウスメーカー等と契約する場合、一般住宅のときは700万円、高機能住宅のときは1200万円まで、贈与税は免除されます。

■契約する日等によっても上限額は違ってきます。上限額は次の通りです。

 

 

 

【高機能住宅とは?】

省エネ、耐震性、高齢者等に配慮したバリアフリー性の観点から優れていると評価された住宅を指します。

■税法用語では“省エネ等住宅”と呼ばれています。

■高機能住宅に該当する場合、ハウスメーカー等から事前に説明があるかと思います。

 

 

【贈与税の基礎控除との関係】

住宅取得資金の贈与を受けたとき、この特例と“贈与税の基礎控除”の両方の適用を受けることができます。基礎控除の金額は110万円です。

■平成29年中の贈与の場合、基礎控除を含めると、一般住宅で810万円(700万円+110万円)、高機能住宅で1310万円(1200万円+110万円)まで、贈与税は免除されます。

 

 

【贈与税の計算方法】

住宅取得資金の金額から810万円(高機能住宅は1310万円)を控除し、残った残額に贈与税がかかります。控除する金額の方が大きく、残額が残らないときは、贈与税の納付額はゼロになります。

■例えば、親から1千万円をもらった場合、通常は約180万円の贈与税がかかりますが、この特例の適用を受けると贈与税は19万円(高機能住宅はゼロ)になります。

 

計算式(一般住宅のとき)

1千万 - 700万 - 110万 = 190万

190万 × 10% = 19万

 

計算式(高機能住宅のとき)

1千万 - 1200万 - 110万 < 0

∴ 贈与税なし

 

 

【両親からそれぞれ700万円ずつ贈与を受けたとき】

複数の人から贈与を受けたときは、合計額で贈与税を計算します。合計で1400万円になり、贈与税が88万円(高機能住宅は9万円)かかります。

 

計算式(一般住宅のとき)

1400万 - 700万 - 110万 = 590万

590万 × 20% - 30万 = 88万

 

計算式(高機能住宅のとき)

1400万 - 1200万 - 110万 = 90万

90万 × 10% = 9万

 

 

【贈与税の申告は必要?】

贈与を受けた金額が110万円を超えるときは、贈与税の申告をする必要があります。

■例えば、一般住宅の購入で500万円の贈与を受けた場合、納税の必要はありませんが、申告はしておく必要があります。

■贈与を受けた金額が110万円以下であるときは、贈与税の基礎控除額以下であり、この特例の適用を受ける必要はないため、贈与税の申告は不要になります。

 

 

【贈与税の申告をするタイミング】

住宅取得資金の贈与を受けた年分について贈与税の申告をします。

■実際に申告をするのは、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間です。

■贈与を受けた年と住宅の契約をした年が異なる場合でも、贈与を受けた年分について申告をします。

 

 

【未成年者が贈与を受けるとき】

20歳以上でないと、この特例の適用を受けることはできません。

■贈与を受ける人の所得が高いとき(年収2220万円超のレベル)も受けることはできません。

 

 

【義理の父から贈与を受けるとき】

義理の父から贈与を受けるときは、この特例の適用を受けることはできません。血のつながっている両親や祖父母(養父母等を含みます)からの贈与の場合にのみ、この特例の適用を受けることができます。

■義理の両親から贈与を受ける場合は、配偶者が贈与を受けるのがコツです。

 

 

【贈与をした親と新居で同居するとき】

贈与をした親と一緒に暮らすときも、この特例の適用を受けることはできます。

 

 

【二世帯住宅を建てるとき】

二世帯住宅を建てるときも、この特例の適用を受けることはできます。

■贈与を受ける子が住居として使用する部分の床面積が、建物全体の床面積の半分以上であることが必要です。

■住宅の名義が子と親の共有になるケースでも、適用を受けることはできます。

■共有の場合において、贈与を受ける子の持分が2分の1以上ではなくても、適用を受けることはできます。

 

(参考) 5千万円の住宅を、子の3千万円(受贈した住宅取得資金700万円+住宅ローン2300万円)と、親の2千万円の資金で建てたときは、子の持分は5分の3、親の持分は5分の2になります。

 

 

【親の土地の上に自宅を建てるとき】

親の土地の上に子が自宅を建てるときも、この特例の適用を受けることはできます。土地の名義をそのままにしておけば、贈与税の問題も生じません。

■土地の名義を親から子に移すと、子に贈与税がかかります。

 

 

【豪華な自宅を建てるとき】

自宅が高額で豪華なものであるときも、この特例の適用を受けることはできます。

■家屋の床面積が240㎡(約70坪)以下であることが条件です。床面積にご注意ください。

 

 

【中古住宅を購入するとき】

中古住宅を購入するときも、この特例の適用を受けることはできます。

■築年数等の条件を満たす必要はあります。

■配偶者や生計を一にする親族等から中古住宅を購入するケースでは、この特例の適用を受けることはできません。

 

 

【住宅ローン控除との併用】

自宅の購入につき、贈与を受けるお金を頭金にし、残りは住宅ローンを組むときは、この特例と住宅ローン控除の両方の適用を受けることができます。

■それぞれの条件は若干異なります。両方受けるときは、それぞれの条件を確認する必要があります。

 

 

【住宅ローンを組んだ後に贈与を受けるとき】

住宅購入代金の全額で住宅ローンを組んでおき、その後に贈与を受けて住宅ローンの繰り上げ返済をするときは、この特例の適用を受けることはできません。順番(①受贈、②住宅ローン)に気を付ける必要があります。

 

 

【住み始める時期】

この特例の適用を受けるには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅を取得して住み始めることが必要です。ただし、翌年3月15日までにできなくても、翌年12月末日までには住み始めることが確実に見込めるときは、適用を受けることができます。

■取得した住宅が災害により滅失し、翌年3月15日までに住むことができなくなったケースでも、適用を受けることができます。

■引渡しが来年になりそうなケースでは、贈与を受ける時期を来年に延期するのがコツです。

 

 

【住宅購入直後に転勤が決まってしまったとき】

住宅を購入してすぐに転勤が決まり、翌年3月15日までに新居に住み始めることができなくなったケースでも、本人の家族等が転勤先についていかず、翌年3月15日までに住み始めるとき等では、この特例の適用を受けることができます。

■転勤の期間が終わったら、本人も新居に住むことが条件になります。

■転勤の際に家族等も一緒に転勤先に引っ越すときは、適用を受けることはできません。

 

 

以上です。

 

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