持分のない医療法人への移行 2017/10/16

 

持分のある医療法人から移行する際に、注意すべき要点について解説します。

 

【移行のタイミングで相続税は異なる?】

持分のない医療法人への移行を相続前に行ったケースでは、相続税の計算上、医療法人の出資を含めないで計算をします。これに対し、相続後に移行をし、相続した出資持分について相続税の措置を適用して相続税の計算をするケースでは、先述のケースと異なる方法で計算をします。そのため、相続税は異なる結果になります。

 

 

 

【相続税はどちらが少ない?】

一般的には、持分のない医療法人への移行を相続前に行ったケースの方が相続税は少なくなります。医療法人の出資以外の遺産が多ければ多いほど、この差は広がっていきます。相続税の節税の観点からすると、移行することが決まっているときは、早目に移行をしておいた方が有利になります。

 

 

【医療法人の社員が複数いるケースでの注意点は?】

放棄をするタイミングに気をつける必要があります。持分を放棄する社員が各自個別に放棄するのではなく、全員が一緒に放棄すべきです。また、放棄する社員と出資の払戻しを受ける社員とがいるときは、出資の払戻しの手続きを完了させてから放棄の手続きをすべきです。そうしないと、放棄した人以外の社員に贈与税のかかるリスクが生じます。

 

 

【相続した出資持分についての相続税の措置とは?】

この措置には2種類あり、正式名称を「相続した出資持分に関する相続税の税額控除措置」と「相続した出資持分に関する相続税の猶予措置」と言います。相続税の申告期限は、亡くなった日から10ヶ月後です。この期限までに、相続人が出資の持分を放棄したときは税額控除措置、放棄しなかったときは猶予措置の適用を受けることになります。

 

 

【相続税の措置を受けるケースでの注意点は?】

いろいろとありますが、その1つは、相続税の申告期限までに出資持分を相続する人が決まっている必要があることです。10ヶ月は長いようで短いです。遺産分割協議ですと、間に合わない可能性があります。生前に遺言書を作成し、出資を相続させる人をあらかじめ決めておくことをお勧めします。

 

 

【持分放棄をしたときに医療法人に贈与税はかかる?】

社員が持分放棄をすると、医療法人は社員に対し出資持分の払戻しをしなくてよくなります。その利益について、医療法人に贈与税が課されます。ただし、贈与税が免除される措置が用意されています。

 

 

【どのような措置?】

正式名称を「持分放棄による経済的利益に関する医療法人の贈与税免除措置」と言います。持分のない医療法人への移行を目的とした放棄をしたときに、いくつかの条件を満たせば贈与税は免除されます。

 

 

【贈与税の措置を受けるケースでの注意点は?】

持分のない医療法人に移行する際、厚生労働大臣から認定を受けます。この認定が取り消されると、贈与税の免除措置も取り消され、医療法人は贈与税を支払わなければならなくなります。この認定の取り消しが起こり得る期間は、持分のない医療法人に移行した日から6年後まで続きます。規模の大きい医療法人の場合、この贈与税は高額になる可能性が高いです。取り消されることのないよう、注意をする必要があります。

 

 

【最後に】

相続税の措置や贈与税の措置は、税金に関するものです。ただ、適用を受けるための最大の条件である移行の認定は、厚生労働省により行われます。そのため、これらの措置を受けるときは、国税庁からの情報だけでなく、厚生労働省からの情報も随時確認をして進めていくことが肝要となります。

 

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